和歌山は家庭用品の一大産地であるが、近年は安い中国製品に押され、苦境にあえいでいるメーカーも多い。
そんな中、あえて「メイドインジャパン」にこだわってGTOと共同開発に取り組み、ファッションに敏感な若い主婦層や、価格よりも品質とデザインの良さを求めるヨーロッパ市場の評価を高めている家庭用品メーカーがT社である。

共同開発相手に求めるのは、誠実な対応

シリコーンゴム製品開発秘話写真3キッカケは、「シリコーンゴムでいい会社ない?」と、取引先の企画会社に聞いたことだった。
紹介されたのがジーティオーだったのだが、以前からこの会社のことは知っていたという。

「展示会で商品を見て、おもしろいもの作るな、と思ってたんです」と企画部長のA様。

最終的な決め手は、企画力や品質もさることながら、誠実な人柄だった。

「私どもは家庭用品全般のメーカーですので、シリコーンゴムについては知らないこと、分からないことが多いのです。でもこういうものを作りたい、こういうデザインにしたい、というのは漠然とあるわけです。」(A様)

そのためシリコーンゴムメーカーと共同しての商品開発プロセスでは、「伸び方が思ってたのと違う」とフィードバックして材料を変えたり、形状を工夫したりというやり取りが、頻繁にされることとなる。
やり直しを面倒がったり、要望を受け入れてくれないメーカーが相手では、満足のいく商品開発はできない。

また、専門的なことを分かりやすく教えてくれるのも、商品の企画開発に携わる側にとっては助かるところだ。

「質問にはきちんと答えてくれます。また、商品開発の間にはゴムがちぎれるなどの試行錯誤がつきものですが、あきらめずにやってくれます。」とおっしゃるA様。

ジーティオーと共同して商品開発に取り組んでいるシリーズには7アイテムあり、現在は4つめの商品を市場化しようとしているところだが、その間にはかなり無理を聞いてもらったこともあるという。

2009年6月の展示会に出品する商品の開発を、ジーティオーに依頼してきたのが同年3月。
これはきわめてタイトなスケジュールである。

「ギリギリ間に合わせてくれました。本当に助かりました。『間に合います』といっておいて『無理でした』というところもよくあるもので…」(A様)

海外で評価される「メイドインジャパン」

上記は国内の展示会であるが、ドイツ・フランクフルトメッセで毎年2月におこなわれる世界最大の消費財見本市にも出展し、品質とデザインにうるさいヨーロッパ市場での評判は、上々だったそうだ。

「今は、サンプルを送り見積りを出して返事を待っているところですが、注文が大量に来たらどうしよう…て思ってるんですよ。」
なんともうらやましい悩みである。

大量生産して一度に大量納入するということができないからだが、「任してください。何とかしますよ。」とのジーティオー藤田社長からの一言で安心されたようだった。

家庭用品は100円ショップでも多く売られているが、多くは中国製。
いくら品質が良いといっても、同じものを1000円で売ることはできない。

工夫次第で高く売ることは可能なのであるが、なかなか難しい。
多くのメーカーが安売り競争に巻き込まれ、中国でのモノ創りに走っているのが実状だ。

しかし中国メーカーからは、納入単価が安い代わりに大ロットを求められる。
飛ぶように売れる商品でなければ、それは無理な話である。

また、マネをされるリスクも、絶えずつきまとう。

それよりは「日本製にこだわりたい」とT社では考えている。

「外国で売りたいと思っています。それには、日本製でないといけません。」(A様)

確かに、欧米、特にヨーロッパの先進各国では日本のモノ創りへの評価が高い。
目が肥えていて、良いものを長く使いたいと思っているヨーロッパの消費者にとっては「メイドインジャパン」は1つのブランドであり、メーカーが日本の会社であっても日本製でなければ、ガッカリするだろう。

若い主婦層に受ける「大人カワイイ」デザイン

シリコーンゴム製品開発秘話写真4デザインにもこだわりがある。
このシリーズは、北欧風デザインがコンセプト。

シンプルでありながら可愛さのあるフォルム。
カラフルではあるが色合いは抑え気味に。

「似たような商品は世の中にあります。でも、可愛くないのが多い。」とA様。

北欧風デザインが「大人カワイイ」を好む若い主婦層に受けており、カタログ雑誌に掲載されて人気商品になっている。

最後に、今後のジーティオーに対する期待、要望を伺った。

「ウチはメーカーですが原料メーカーではないので、その部分は仕入先メーカーにお願いするしかありません。シリコーンゴムをよく知っている立場から、『こんなものがありますよ』、『こんなことができますよ』という提案を、これからもどんどん出して欲しいですね。」

2013/01/24